めばえ21の願い
ダウン症を持つ子どもの母親と有志が立ち上げた「ダウン症支援の会 めばえ21」が
「特定非営利法人 ダウン症ファミリー総合支援めばえ21」に 生まれ変わって4年が過ぎ、
2017年8月に開所した「児童発達支援・放課後等デイサービス めばえ21」も5年目を迎えました。
皆様の応援の賜物です。心より感謝申し上げます。
たくさんの小さな手の温もりと、輝く瞳に囲まれる毎日です。
子ども達とご家族の笑顔をもっともっと増やせるように めばえ21スタッフ一同、心を合わせて前進します。
現在も、ダウン症についての啓発・イベント活動や勉強会・講演会などの開催、
ダウン症児・者のための食育活動、ダウン症に関する情報発信、ご家族との相談など、各事業を行っています。
当事者の皆さんとそのご家族と、一緒に歩んでいく私たちです。
ダウン症を持つ方もそうでない方も、すべての誰もが、自分らしく暮らせるように。
それが、めばえ21の願いです。
代表メッセージ
ホームページを見て頂きありがとうございます。そしてめばえ21の活動に、興味を持って
下さりありがとうございます。私はダウン症のある男児の母です。まず、どうして
「めばえ21」という団体を立ち上げたのか、私個人の経験からお話をさせて頂きます。
私は、初めて身ごもってから我が子をこの手に抱くまでに8年かかりました。
結婚した翌年に初めて妊娠をしましたが流産。その3年後に2度目の妊娠をしましたが7週目で
また流産。そして次の年に一卵性の双子を妊娠し「流産した2人の子供達が戻って来てくれたの
だ!」と大喜びしました。しかしその喜びもつかの間、双子のうちの一人が頭蓋骨形成不全
(頭の骨のない子)とわかりました。そしてこの子がお腹の中で亡くなれば、もう一人の元気な
子供も24時間以内に取り出さないと毒素が回り、命が危険になると言われました。お腹に時限
爆弾を抱えた思いで7ヶ月目を迎えました。7ヶ月になれば胎児を外に出しても大丈夫、という事で入院し出産に備えました。しかし入院翌日「一人の子供の心臓の音しか聴こえない」という事になり、帝王切開で出産しました。結局、頭蓋骨形成不全の子はお腹の中で亡くなり、もう一人の元気だった子も出産直後に亡くなってしまいました。出産したにもかかわらず、この時も私は我が子を抱く事が叶いませんでした。そしてその後も2度妊娠しましたがまた流産という結果になりました。
この時点で、流産が4回に死産が1回。不育症ではないか?と考え、治療をし6度目の妊娠をしました。「今度こそ生きた我が子を抱きたい!」そう思えば思うほど、一方で不安も募りました。42歳での高齢出産という事もあり、医師と相談し羊水検査を受けました。結果は21トリソミー(ダウン症候群)でした。看護師という職業柄、21トリソミーの事を知ってはいましたが、ご家族の生活、子育てがどんなものになるのか、ダウン症のある子供はどう成長するのか等は何も知りませんでした。自分の経験したことのない未知の世界への恐怖は計り知れず、泣いて悩みました。情報がないまま3週間で「産むか産まないかの選択」をしないといけなかった事は、本当に苦しかったです。ですが私の場合「生きたくても生きられなかった沢山の小さな命」の事を思うと、今お腹の中で動いている「生きることができる命」に手をかけることは絶対に出来ない、そう思いました。そして初めての妊娠から8年かかり、やっと我が子をこの手に抱く事ができたのでした。
我が子を生み育て分かったこと、それはダウン症があっても無くても「愛しい我が子であることに何も変わりはない」ということでした。ダウン症のある子ども達は「スモールステップ」で育児をすれば、ゆっくりですが必ず成長します。その可能性は無限大でした。そして我が子からはたくさんの「魂の学び」がありました。私達夫婦を「親」に育ててくれているのは、まぎれもなく「我が子」なのです。彼が三歳の時、彼に「ダウン症だとわかった時に泣いてしまって、産むか産まないか悩んで、本当にごめんね。」と夫婦で心から謝りました。そうすると彼は「いいよ」と笑顔で言いながら、私達の頭を撫でてくれました。
現在「新型出生前診断」を受けて「陽性だった人の9割は堕胎している」という現実があります。お子さんをどうするかはご家族でしっかり話し合って決めることだと思います。ただ決める上で「ダウン症に関する正しい知識の提供」「産んだ後にご家族を身近な所でしっかり支える専門的な受け皿」「悩みを共有できる仲間」そして「ダウン症の特性を理解し、無限大の子供の可能性を引き出せる環境が整っていること」が必要不可欠だ、と私は実体験を通して痛感しました。これらの事は、これからダウン症のある子供を産むと決めたご両親だけではなく、ダウン症のある子供が生まれて、これからどう育てたらいいのかわからず悩んでおられるご両親に対しても、やはり必要であると私は思います。
今までたくさんの「ダウン症のあるお子さんのご家族」とお話してきましたが「こんなサポートがあったらいいな」とか「あんなことが出来たらいいな」というようなことが、どんどん出てきます。例えば「言葉の発達の支援」や「子供のレベルに合わせたピアノや書道などの習い事」「きょうだい支援」「勉強会」・・・
これらの「あったらいいな」を形にする箱を、心に寄り添ってくださる「ダウン症の専門の先生」と「ダウン症のある子供の親たち」の手で作りたい・・・これが「めばえ21」を作った思いです。
〜「めばえ21」の名前に込めた想い 〜
我が子が受けた発達検査の評価の中で合格と不合格の間に「芽生え反応」と言う項目がありました。「何らかの配慮や工夫をすることで自立して行える(合格の評価になる)という項目です。21世紀を生きる21トリソミーのこども達のめばえ反応に支援し、沢山の人に褒めてもらう機会も作り、こども達のできたの笑顔につなげたいと考えています。そしてご家族一人一人が輝ける場所になります様にとの願いを「めばえ21」の名前に込めています。